ふくおか匠図鑑
洋裁師
洋裁師とは
一般的には「洋裁師」が馴染みある呼び方かもしれませんが、正式には「婦人・子供服仕立職」と言います。世の中にたった一つのオリジナルな服をつくる仕事です。
まず、カラーコーディネートしながら生地を決め、細かな採寸(寸法を測る)をして、その人が一番美しく見えるシルエットになるよう、またその人にとって着やすいよう工夫したデザインを考えます。生地の素材によって扱い方、デザイン、仕上がりも異なってくるので、お客様の希望を聞きながら、専門的なアドバイスも必要になってきます。洋服は、その人の体に合わせた立体的なものに仕上げるため、採寸は特に大事にしています。
次にそれらをもとに製図して型紙をつくり、裁断、仮縫い、補正、仕上げ縫いを作業を進め、完成させます。
さらに高価な生地でつくる場合は、生地を裁断する前に、シーチングという生地で中仮(なかがり:仮縫いの前の仮縫い)をして補正し、補正したものをほどいて型紙にするという手間を加えます。
洋裁師のやりがい
一人一人のお客様に満足していただけるものをつくるために、日々精進しています。「〇〇さんでなければ」と、わざわざ遠方から注文をいただいたり、一度つくって気に入って何度も注文をいただいたりするお客様がいらっしゃって、とても励みになります。
例えば、ボタン一つでその人の雰囲気が変わります。お客様に合わせて、数えきれないほどの生地やボタンの中から唯一のものを選び、そしてデザインを決めていくことは楽しみでもあり、時を忘れて夢中になってしまうこともあります。自分が好きな時に、好きなだけの仕事ができるので、長く続けやすい仕事だと思います。
福岡県洋裁技能協会としての取り組み
・国家検定試験(婦人子供服注文服製作)
・国家検定試験(婦人子供服パターン製作作業)※2年に一度
国家検定試験は、2級・1級・特級の試験があります
・全日本洋装技能コンクール
小学生のものづくり体験講座にも講師として参加しています。
出会った子どもたちに、布を大切にする心をもってもらいたくて、端切れや余り布で小物を作ってプレゼントすることがよくあります。右の画像は、いろいろな端切れで作ったくるみボタンです。
洋裁師を目指そうとする方へ
・針を使った手仕事、例えば「ボタンをつける」「ほころび(破けたりしたところ)を繕う」などは、とても生活に密着したもので、誰でもが身につけておいてほしい日常的な技術です。
・洋裁師は、常に美意識を高くもち、良いものをつくる目と技術を備えることが必要だと思っています。私たちが作った洋服は、お客様にとって、自分らしく豊かな生活をおくるために必要な一着になってくれるものと信じています。
(一社)日本洋装協会に所属しており、福岡県支部としての活動もしている。(一社)日本洋装協会では、2009年より当会相談役が副会長を務め、現在は相談役に就任している。
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